四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

南三陸にて

南三陸にて 3・11から9年。 東京駅から新幹線に乗り、仙台に到着した僕ら夫婦。駅前でレンタカーを借り、約2時間ほどのところにある宮城県南三陸町を訪れた。 地震当時、僕らは中国の広州に暮らしていた。昼寝から起きた僕は、中国中央電視台(CCTV)が…

砂浜の記憶

あなたは間違っている。 私が正しい。 世の中は、そんな言い合いの言葉にあふれるようになったんですね。 僕が歩いていたのは、国頭の砂浜。 しっかりとした足裏に砂を感じていました。 今でもきっと、東シナ海を臨む夕日が沈む海岸には、浜百合が風に揺れて…

神戸の喫茶店にて“神様”と出会った

" data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> 街が秋色に染まっていく日。 喫茶室の丸テーブルを、中年の男女が囲んでいた。 聖書、仏教、人生、健康、 目を輝かせた男性の口から聞こえてくるのは、大それた言葉たち。 俺は勉強しているんだ、…

東京のおじさん

いつも吉沢家の中心にいた「東京のおじさん」こと、伯父さんの初盆が終わった。 早いものでおじさんとおじさんの愛犬が亡くなってから1年が経つ。 2人の娘さんで、僕の従姉妹たちとその旦那さんたち。信州・伊那谷の家でワイワイと食事を囲みながら話した…

倉本聰氏の富良野GROUP公演『走る』を観て

人はどこに向かって走っているのか。 そもそも走らなければならなかったのか。 そんな根本的な問いかけを突き付けられたような気がした。 脚本家の倉本聰氏が主宰する創作集団・富良野GROUPの舞台『走る』を3月初め、名古屋で観てきた。 東京で観るつ…

暴走する大国

中国が自滅に向かって大きな一歩を踏み出してしまいました。 周辺国に何の協議もなく、一方的に東シナ海に「防空識別圏」を設定した問題の影響は、非常に重大です。日本と戦争になる危険性を大きく高め、臨戦態勢になっているといっていいでしょう。 単なる…

ジャイアンと日本人

いじめっ子だったジャイアン、 昔のことを謝っても誰にも信じてもらえない。 さんざんにじめられたのびたは 大人になった今でも、 「ジャイアンの謝罪は本当なのか?」 「本当に誠実な態度なのか?」 と疑う。いつまでも、いつまでも。 多感な時期のことだか…

「アベノミクス」の成功の鍵握る日中関係

大胆な 金融政策、財政出動でデフレからの脱却、景気浮揚を目指す安倍首相の「アベノミクス」だが、これが成功するかどうかは、日中関係を改善できるかどうかが鍵 を握っている。1月にはさっそく山口公明党代表を北京に派遣し、首脳会談に向けた道筋を作っ…

対立があるからこその経済連携

日中韓3カ国はいずれも新政権が発足する。新たな政治が始ま楼とする中、「中国は信用できる相手ではない」「日本企業は中国から撤退すべきだ」などと相手を非難して対立を煽るだけでは、日本が世界から孤立する。少子高齢化でデフレと経済停滞に見舞われる…

内向き姿勢が日本をつぶす!?~頑なに中国を拒絶する人々

「長引くデフレと景気低迷で、日本人の内向き姿勢が一層進んでいる」と、日本国内のある医療業界関係者は嘆く。高齢化や1人当たり700万円を超えるとされる膨大な借金、ますます先細る社会保障の問題など、内側からむしばまれる日本。新たな活路を見いだすた…

中国へ流出する熟練技術、「国益を損なう」のか?

東京大田区、東大阪、長野県諏訪市など日本の各都市に残る「町工場(こうば)」。その町工場のほとんどが、60歳を超えたおやじさんたちが細々と経営する、中小、零細企業だ。彼らが半世紀の歳月をかけて磨き上げてきた「熟練技術」「高度技術」が今、景気低…

「パンダを殺した」、日本人をミスリードするマスゴミ

■「パンダを殺した」、日本人をミスリードするマスゴミ ~「国益」と叫んで国益損なう 「日本人がパンダを殺した」――。上野動物園で待望のパンダの赤ちゃんが死んだ翌日、あたかも大勢の中国人が日本人を非難しているかのような見出しが踊った。日中友好を象…

拡大する「日本回帰」、地方の若者を活用せよ

これまで中国の低廉な賃金でソフトウェアなどの委託製造していた一部IT業界で、中国から日本へ回帰する流れが出ている。背景には、中国で人件費が高騰する一方、「失われた20年」の影響を受けて平均賃金が低下する日本の若者を活用しようとする企業の狙い…

日本の「原発ゼロ」が、中国進出を加速する

民主党、野田佳彦首相は9月、2030年代までに国内の原子力発電所をゼロにする考えを示した。福島第一原子力発電所の事故以来、反原発を一途に訴えていた一部国民から拍手喝采を受ける。だがその一方で、日本の行く末を懸念するのは産業界。原発ゼロで電気料…

中国人の面子、買い控えてみたものの・・・

「日本ブランドの不買運動をさほど懸念していない。すぐに影響は消える」と、ある大手日系メーカー関係者は言う。反日デモの影響を受け、各分野で日本製品の不買運動が広がっているとされるが、ある業界では影響は短期的になると予測する。 日中間が面子の張…

中国が日系企業を必要とする理由

「ピンチの時こそ、攻めの姿勢が重要」―2013年以降の日系企業が、心に刻んでおかなければならない言葉だろう。中国が今後の安定的な成長に日系企業を必要としているという事実がある限り、日本企業の商機はまだこれからも続く。日系企業は中国に挑み続け、日…

日本のマスコミが「中国撤退」を煽る理由

多くの日本のマスコミ、ジャーナリストたちは、激しい反日デモを受けて、「中国から撤退すべき」「アジアシフトだ」などと自論を展開した。煽ったといってもいいだろう。ところが、中国の現場にいる日系企業関係者からはむしろ、「いま撤退すれば中国での商…

燕京の雪

ギシギシと自分の足音をかみしめるように白くなった北京の道を歩く。 雪は街の雑音を消し去ってくれるのだろう。 2000万人が暮らすとされる喧噪のこの街も、 雪が降り積もった早朝は古の都の静けさを取り戻す。 時空を超え、歴史に消えていった有象無象の人…

日中の企業間で逆転する賃金〜〜もう中国人を安く雇えない

日本人と中国人の賃金が逆転しつつあります。 これは統計的な見方ではなく、あくまで北京で暮らして身近な人々から感じることです 中国の平均賃金とか1人当たりのGDPは確かに、まだまだ日本の5分の1程度にとどまっています。 それはひとえに13億という…

被災地から3000キロ離れた場所から

私はいま、日本・東北地方の被災地から、3000キロ以上離れた場所にいます。 広東省の広州市。 こちらでは日本人も1万人余りが暮らしています。 11日、午後3時ごろだったか、中国のテレビでも日本で大きな地震があったと流れていました。私はいつもの地震だ…

遠い雷鳴

青い光が、切れ掛かった蛍光灯のように点滅して室内を照らす。 光と同時に、カーテンの隙間からみえる遠くの暗闇に、名も無きビル群が浮かび上がる。 誰かがあの窓の光の中で暮らしている。暗闇が怖くなくなってから、どれぐらいたつのだろう。 この7月、雲…

生きるかなしみ

ここ中国南部の大都市、広州市。その郊外にある、ハンセン病元患者が集団で暮らす小さな村を訪ねた。中国の大学生らの若者たち10数人といっしょだ。私は、ボランティアとしてではなく、単なる好奇心から参加した。 かつて暮らした奄美大島にも元患者たちが隔…

Black Power

先月、南アフリカを初めて訪ねました。久しぶりの一人旅です。 世の中のカラクリを知ると、楽になる。動くことでエネルギーが生じる。 5日間だけでしたが、南アフリカで暮らす日本人ビジネスマンなどに会い、そんなことを少し感じられた旅でした。 誰に会っ…

硝子

今朝、手が滑りコーヒーメーカーの容器を床に落とした。 しまったと思ったが遅く、スローモーションで落ちていく硝子の容器を眺めた。 パリンという美しい音を出しながら容器の硝子が割れ、さまざまな形に分断された破片が床に散らばった。 散らばった範囲は…

日本落城

城が落ちたーー。 そんなイメージがしっくりくる選挙だったようです。今朝の日本経済新聞は社会面で、自民党の歴史的大敗を「落城」と見出しを打っていました。私はショッキングな見出しに釘付けとなり、仕事が終わった後、ラーメンをすすりながら読みふけり…

光の粒

人の思い出は、光の粒が寄り集まってできているのかもしれない。 空気の汚い広州の夜空にも、雲が晴れて星が輝くことがある。きらきらと点滅して。 光の粒が、いま彼女に降り注ぐ。 世界中から光の粒が集まってきて、 彼女と生まれてきたばかりの彼女の子供…

走る女

朝、会社までの通勤路では、多くの若者たちとすれ違う。 20階建てほどの古いオフィスビルがあって、彼らはたいていその中に吸い込まれていく。 彼らと逆方向に歩きながら知らない彼らの1人ひとりの顔をみて、私は中国という日常の中に暮らしながら、海外と…

ルカ

僕の愛犬、ルカが死んだ。12歳。犬としてはもう高齢だった。 15日夕方に長野の実家から中国の僕の携帯に電話がかかってきて知った。 僕が帰国した4月初旬。少しやせたルカの体が気になっていたが、僕が中国に戻ってからはほとんどえさを食べなくなってしま…

メモの空白に

夜桜をみた。5年ぶりの日本の桜。 桜の花びらのハート形が、アスファルトに模様をつくる。 心の中で自由自在に花びらを動かし、形あるものを描いていくことはお手の物だ。 先々週、日本へ一時帰国した。 いつも一時帰国は正月か冬。桜が満開の季節に出合う…

ねじ巻き時計のねじを巻く (2)

突然で申し訳ないが、僕がこの10年近く繰り返し見ている映画がある。 1999年にアメリカで製作された「マグノリア」という映画だ。 トム・クルーズが演じるセックス伝道師。 個性派俳優のウィリアム・メイシーが演じるダメ男。 テレビのクイズ番組で勝ち続け…