四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

「アベノミクス」の成功の鍵握る日中関係

 

 

大胆な 金融政策、財政出動でデフレからの脱却、景気浮揚を目指す安倍首相の「アベノミクス」だが、これが成功するかどうかは、日中関係を改善できるかどうかが鍵 を握っている。1月にはさっそく山口公明党代表を北京に派遣し、首脳会談に向けた道筋を作ったのも、安倍政権がこのことを強く意識しているためだろう。

物価上昇率2%のマイルドなインフレを目標に据えた成果もあってなのか、日本円の対ドルレートは、2月1日現在、92円を超えた。昨年10月まで70円台後半だったのが遠い昔のよう。

日本にとって最大の輸出相手国は中国。昨年6月から円と人民元の直接取引が始まったものの、依然日中間の貿易取引はほとんどが米ドル建てで決済されている。自動車メーカーなど日本の輸出企業は今こそ円安のメリットを生かして、中国などへの輸出を加速したいところ。

ところ が、日中関係が悪化したままなら、日本の自動車や家電を積極的に買ってくれる中国の消費者の行動も抑制されたままで欧米系や韓国製品への流動が続いてしま う。中国で日本製品が売れなければ、円安の意味がない。せっかくのアベノミクスが生かせない状態が続いてしまうのだ。

中国と 対立したままでは、どんなに国内で金融緩和をしても、公共事業をやっても、アベノミクスは完全な失敗に終わることを安倍政権は理解している。表と裏の顔が あるのが本当の政治と外交だ。国内景気を重視する安倍政権は中国に大きく歩み寄るだろう。7月の参院選前にも実現するとも予測されている首脳会談の行方に 注目したい。