上海の恋物語
きょう僕は、2時間ほどバスに揺られて、郊外の街まで行ってきました。
市街地と違って、道路には白い埃が舞っています。車が通るたび、僕は口を押さえました。
僕が生まれて初めてみる街です。ボーと、バスの窓から外を眺めながら、考えていました。
ここにも僕の知らない人がいっぱい生きている。
ここでも僕の知らない恋がある。どんな恋をし、何を想っているのだろう。
どんな議論でも、水かけ論に終始してしまうのはなぜでしょうか。政治や経済、歴史を語っているだけでは中国や中国人はみえてこないんです。生身の人はみえてこないんです。
いつか、僕はその知らない青年たちの恋を、ひとつひとつ丹念に記録していくことはできないだろうか。
特別な恋じゃなくていい。
いま、上海に生まれ、消えていっている普通の恋を描いていけないだろうか。
ちょっと洒落た写真を添えて・・・。
そんなことを考えながら、僕はバスの中で気持ちよく居眠りしていました。