四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

2008-01-01から1年間の記事一覧

普通の日記

こちら広州もだいぶ空気が冷たくなってきました。暖房がほしいです。それでも亜熱帯だからなのか、街の木々は青々としたままです。 最近はこのブログの更新も1ヵ月に一度程度になってしまいました。次回は年明けの2009年1月でしょうか。 今年の中国はいろ…

月を撃つ

「もしあの月を撃ち落とすだけの力を持つことができれば、 この世から消えてしまうのかもしれない。いま多くの人々が感じている悲しみや苦しみも」 電話の向こうであなたは言った。 何をどう語るのかなんてどうだっていい。 何をどう感じているのかが、知り…

バベル

僕が暮らすアパートの真向かいに、人が誰もいない、巨大なビルがある。 この辺りでは一番高いビルで、40階はあるだろうか。 デベロッパーが資金不足になったとかで、建設が中止されてしまったのだろう。 ビルを人に例えるなら、頭(最上階)から腰辺り(20階…

髪を切る

大きな鏡に映す自分の顔。 伸びてきた髪。直径2センチあるかないかだが。 しかも少し巻き毛が混じる。 いつから天然パーマになったのか。生まれながらだったのかどうかも思い出せない。 切る、切らない。鏡と相談するが結論は持ち越し。 とりあえず、床屋を…

五輪の夜

北京五輪開幕式の夜はひとり会社で残業となってしまい、なんとか仕事を終えたのは9時過ぎだった。開幕式はもうとっくの昔の1時間前から始まっている。 帰り道にいつものスーパーに寄ると、顔なじみの若い女性たちがレジで黙々と働いていた。 購入した牛乳…

もうすぐ南の街へ

2年半を過ごした上海を離れることになった。秋から中国の南の都市、広州で暮らす。働く。転勤というやつ。 (そう、今年の春に転職した。) 上海での生活もあと1カ月半ほど。 時間は止まらない。 止まらないどころか、いつもより時間は早く流れてる。 いつ…

職人の汗

職人が流す汗。 上海の郊外にある七宝古鎮にある桶屋を訪ねました。 日本の重工メーカーに勤め、中国で調達の仕事をするZhenさんが1年ほど前から上海に来る度に通いつめていた場所です。休日にいっしょに同行させていただきました。 言い訳や取り繕いが通用…

アキバ、変化の足音

変わる。 ただそれだけのことが怖くて人は留まったり、人を殺したりする。アキバの凄惨な事件。 世の中は変えられない。アキバは変わらない。人を殺したとしても。 でも、自分なら変えられる。 自分を変えるのは難しい。けれど世の中を変えるよりずっとずっ…

少年

少年は、体に似合わない大きな自転車に乗りながら、ゆっくり後をついてきた。 瓦礫の山になった小さな村の写真を撮っている僕に興味を抱いたようだ。 少年は「中国 加油(がんばれ)!」と書かれた白いTシャツを着ていた。何日も着ているのだろう、中国の赤…

静かな光の夜に

人は、他人の痛みを感じられる。涙が流せる。 そんな当たり前のことを、ここ中国でも感じた。 2008年5月12日午後2時28分。 四川省で大きな地震があった。 犠牲者は最終的には7万人を超えるとも言われている。 まだ多くの人々が瓦礫の下に埋まって…

チベット族の阿宏

深夜1時。 隙間だらけの安い宿屋の寒さに尿意を催した。 僕は薄い布団からそっと抜け出してトイレへ行こうとすると、階下の薄暗い部屋からパソコン画面の光が漏れていた。 音は何も聞こえてこないが、格子にパソコンの青や赤の光が反射して動く。 インター…

偶然の物語

「物語を書こう」と、約束したのを覚えている。 ずっと昔のことだ。 彼女との物語は、必然だと思った。 僕がまず書き出す。1つの章を書き終えたら、彼女へ渡す。 そこから、彼女が書き繋いでいく。そして僕が書く。また彼女に渡す… 永遠に終わらないはずだっ…

寄せては返す波のように

「人との関係って、行ったり来たりしてるのがいいんですよね」 ある後輩が、僕に同意を求めるように言った。 10年ぐらい人生の後輩だが、最近家庭を持つことではもう先を越した男だ。 確かにそうかもしれない。 一方が好きで好きで堪らない時もあるけれど、…