四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

2009-01-01から1年間の記事一覧

硝子

今朝、手が滑りコーヒーメーカーの容器を床に落とした。 しまったと思ったが遅く、スローモーションで落ちていく硝子の容器を眺めた。 パリンという美しい音を出しながら容器の硝子が割れ、さまざまな形に分断された破片が床に散らばった。 散らばった範囲は…

日本落城

城が落ちたーー。 そんなイメージがしっくりくる選挙だったようです。今朝の日本経済新聞は社会面で、自民党の歴史的大敗を「落城」と見出しを打っていました。私はショッキングな見出しに釘付けとなり、仕事が終わった後、ラーメンをすすりながら読みふけり…

光の粒

人の思い出は、光の粒が寄り集まってできているのかもしれない。 空気の汚い広州の夜空にも、雲が晴れて星が輝くことがある。きらきらと点滅して。 光の粒が、いま彼女に降り注ぐ。 世界中から光の粒が集まってきて、 彼女と生まれてきたばかりの彼女の子供…

走る女

朝、会社までの通勤路では、多くの若者たちとすれ違う。 20階建てほどの古いオフィスビルがあって、彼らはたいていその中に吸い込まれていく。 彼らと逆方向に歩きながら知らない彼らの1人ひとりの顔をみて、私は中国という日常の中に暮らしながら、海外と…

ルカ

僕の愛犬、ルカが死んだ。12歳。犬としてはもう高齢だった。 15日夕方に長野の実家から中国の僕の携帯に電話がかかってきて知った。 僕が帰国した4月初旬。少しやせたルカの体が気になっていたが、僕が中国に戻ってからはほとんどえさを食べなくなってしま…

メモの空白に

夜桜をみた。5年ぶりの日本の桜。 桜の花びらのハート形が、アスファルトに模様をつくる。 心の中で自由自在に花びらを動かし、形あるものを描いていくことはお手の物だ。 先々週、日本へ一時帰国した。 いつも一時帰国は正月か冬。桜が満開の季節に出合う…

ねじ巻き時計のねじを巻く (2)

突然で申し訳ないが、僕がこの10年近く繰り返し見ている映画がある。 1999年にアメリカで製作された「マグノリア」という映画だ。 トム・クルーズが演じるセックス伝道師。 個性派俳優のウィリアム・メイシーが演じるダメ男。 テレビのクイズ番組で勝ち続け…

ねじ巻き時計のねじを巻く (1)

今朝、目を覚ますとテレビの上に置かれたねじ巻き時計が、7時19分を示していた。 布団の中から枕元へ手を伸ばし、携帯電話を引き寄せて時刻を確かめてもやはり同じ7時19分。 「こんな偶然ってあるんだな…」と僕はつぶやいた。 ねじ巻き時計は、僕の怠慢の…