四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

光の粒

 人の思い出は、光の粒が寄り集まってできているのかもしれない。
  空気の汚い広州の夜空にも、雲が晴れて星が輝くことがある。きらきらと点滅して。


  
  光の粒が、いま彼女に降り注ぐ。


  世界中から光の粒が集まってきて、
   彼女と生まれてきたばかりの彼女の子供に降り注いだ。

   最後は、彼女自身が光となって眩しいぐらいに輝いたかと思うと、
     突然僕たちの前から姿を消してしまった。
              残酷にも、そこにはもう彼女の姿はなかった。


   ただ、いまは美しい思い出の光の粒がきらきらと輝いてみえるだけだ。


   遠く中国にいて、そんな風に僕は彼女の最後を感じていた。
    



夜空に輝く星や銀河の光は、何億年をも過去に発せられたものもあるという。
  過去と現在、そして未来はつながっているし、いつでも同時に存在している。
  


 30数年間だけだったけれど、彼女が生きている間に発した光の粒は、
  ずっと宇宙の彼方まで飛び続け、いつまでも生き続けていくのかもしれない。

   きっとそうに違いないし、そう信じていたい。





 14日、元気な男の子をこの世に生み落とし、直後に亡くなった故郷の仲間へ。