四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

メモの空白に

夜桜をみた。

5年ぶりの日本の桜。
 
  桜の花びらのハート形が、アスファルトに模様をつくる。

  心の中で自由自在に花びらを動かし、形あるものを描いていくことはお手の物だ。

 
  



先々週、日本へ一時帰国した。
いつも一時帰国は正月か冬。桜が満開の季節に出合うのは、実に5年ぶりだったのだ。


信州は、静かだった。

 景気が低迷しているからではないだろう。


  静けさは、自分の内にあるのかもしれない。
   ざわついた気持ちの中で、逃げるように中国へ旅立った5年前の春を思い出した。


  そして今、ざわめきの消えた心の中で、ゆっくりと花びらを動かす。


  



 そう、15年近く使っている皮の手帳を初めて修理に出した。
     油が塗られ、生まれ変わったかのような手帳が訴えていた。

  メモの空白に書いた。「4月4日、夜桜」。




 

  僕を誘惑する美しい日本の夜桜は、しばらく脳裏から離れそうにない。