五輪の夜
北京五輪開幕式の夜はひとり会社で残業となってしまい、なんとか仕事を終えたのは9時過ぎだった。開幕式はもうとっくの昔の1時間前から始まっている。
帰り道にいつものスーパーに寄ると、顔なじみの若い女性たちがレジで黙々と働いていた。
購入した牛乳やパンをバックに詰め込みながら、「きょうは開幕式だよ」と声をかけると、女性は「そうですね」と笑った。
よりによって開幕式の当日に遅番の仕事となってしまい、観られないのがとても残念だと言う。
一生に一度しかない開幕式。こんな時に夜遅くまで仕事をしているなんてお互い様。言葉には出さなかったが、そんな風に彼女たちとの仲間意識を感じて嬉しくなった。
この日は誰もが家の中でテレビを見ているからだろう。街中は人影もまばら。
いつもより静かな家路を急いだ。
北京五輪期間中に書いた日記。
いまさらながら、アップしてみます。