摩天楼に勝つ戦略と、土台の屍
勝負は嫌いです。
勝者がいれば、かならずその陰に敗者がいる。みじめな敗者がいる。
勝つこともいやだし、負けることはもっといやです。
だから、できることなら、競争とは関係のない、あたたかな日の差す縁側に座り、仲間といっしょにのんびりお茶でもすすっていたかったのです。
でも、それでは、上海が僕を許してくれないような気がしています。
勝ち負けが人生のすべてではないと分かっていながらも、
勝ち負けにこだわる人種を軽蔑しながらも、
勝つことを考えなくてはいけないのだ、と思いはじめています。
勝つ戦略を立てなければ生きていけないのだと感じているのです。
先日、訪問した新天地にある高級レストランの店長は自慢げに話していました。
昨夜は、たった7人で2万人民元(26万円)分を食べていっていた客がいたと。
それもきっと勝つ戦略なのだろう、と僕は思いました。あるひとりの男の負けないための必死の戦略なのだろうと、悟りました。
ここ上海にそびえる摩天楼は、明らかに「勝つ」ための建造物です。
そして、その土台には無数の敗者たちの屍が埋まっています(余談ですが、話題のなんとかエモンもその土台の下に埋まってしまうのかもしれません)。
勝つための戦略が、この厳しい世界にはどうしても必要なのです。
僕が最も嫌ってきた、勝者にならなければだめなのです。