四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

老板志向の上海人

 きのうは、上海人の友人たちと高級レストランで夕食をとりました。一人の女の子は先週、ある会社の秘書の仕事を辞めたばかり。春節の大型連休中は、夜な夜な街へ繰り出して遊んでいるようです。

 久しぶりに会ってみると、髪の毛をかなり黄色く染め、できる秘書から遊び人風にしてしまっていたので、正直ギョっとしました。春節の特別バージョンか!?「これって失敗じゃない」なんて本人の前ではとてもいえません。でも美人は美人です(僕の好みではないですが)。

 上海の若い女性は、基本的に何もできません。とりあえず料理ができません。掃除や洗濯もできません。両親がすべてやってくれていて、かなり甘やかされているようです。「誰かと結婚したらどうするの?」と聞くと、「洗濯機があるし、料理はダンナにやってもらうもん〜ウフフ」。日本の若者とあまり変わらないジェネレーションギャップを感じて、軽くめまいがします。

 つらい仕事もいやだし、楽しく生きるのが一番だと言います。春節の休みが終わったら、新しい仕事を探すみたいですが、いずれ彼女がしたいのはやっぱり「老板(ラオバン)」です。
 
 「老板」とは中国語ですが、自分で店を開いたり、事業をやっている人たちのことです。中国では、老板と雇われ人の収入の差がとても大きいらしいのです。

 老板と雇われ人の格差について、彼女が分かりやすく例を出して説明をしてくれたのは、道端で小物を売ったりしている乞食のような農民たち。彼らもいちおう老板です。実は彼らの収入は、秘書をしていた彼女の給料と同じぐらいか、もっと多いといいます。

 ぶっちゃけて表現すれば、「田舎から出てきた教養もない汚い農民が、金融学を専攻していた大卒の上海人の私より収入が多いのよ。そんなのって許せない!」ってことらしいのです。

 だから、何が何でも老板です。成功すれば毎月数万元(1万元が13万円ぐらい)の収入はいけるといいます。雇われ人では、何十年たってもここまではいけません。実際には一生叶わない額なのです。老板にならないと。

 これから中国はインターネットの商売がすごくなる。だから、あなたもよく研究しなさいと、何もできないお姫様に諭されました。なんとかエモンが中国でも出現するのは時間の問題でしょうか? 

 何が何でも老板志向の彼女の話を聞いていると、僕を含めた日本人ってやっぱり保守的なんだなと改めて思いました。会社に一生仕えるなんて、そもそも変な考え方。それが美徳のように思わされているから、日本というのは不思議な社会です。