雨の日、散歩、夢
ポツポツと小雨が降りはじめた昼下がり。ひとりバスに乗って街の中心部へ出かけました。
いつもより人通りが少ない准海路。新しいワイシャツを買う用事を済ますと、ぶらりと近くの公園へ足をのばしてみました。
都会の空気も雨で浄化されているのか、吐く息が酸素を含んだ緑色になっているよう。少年のような冒険心が戻った僕は、しばらくの間傘を閉じて、いたずらっぽく上海の雨を浴びたくなりました。
雨がもたらした意外な静けさの中で、池のアイガモたちもいつもより自由に水面を泳いでいるように見えます。上海で4ヶ月。さまざまな顔をみせてくれるようになったこの街に、やっと馴染んできた僕の姿が水辺に映っています。
夢ばかりを追い求めていると、その到着地点しか見えないもの。夢だと叫びながら、視野の狭い人間になってしまう。けれど、ときに散歩がてらに寄り道をしてみると、夢の周辺に広がっていた世界がすっきりとみわたせ、自分に対しても客観的になれることもあるようです。
自分が歩く道は決してまっすぐではないけれど、いろんな世界をみて歩いているからこそ、あなたが目指す場所へ到達できるんだよ。そう誰かに教えられているかのようです。
雨の日の散歩も悪くない、と思いました。