したたかさのバカ野郎
したたかさのバカ野郎。
誰が好きでこんなしたたかさを身に付けたのだろう。
ヒトはしたたかだから、偉いのか。
ヒトは偉くなりたいから、したたかになるのか。
そんなものは捨ててしまえ。所詮はヒトのクズにすぎん。
怒りは、したたかさに向けられて、
したたかな自分に返ってくる。
きょうの夕食のおかずは、シーチキンの缶詰。
貧しい夕食を済ますと、やっと乾いたシャツにゆっくりとアイロンをかける。
このシャツからシワが消えたとき、明日へのしたたかさが顔を出す。
シワだらけの人生のくせして、したたかさというシャツを着るのはこの俺だ。
したたかさの中で俺の認識装置は機能せず、
カッコ悪さの中で俺の生は輝いてくる。
俺に必要なのは、単なるしたたかさじゃない。
俺に必要なのは、夢に向かうしたたかさだけだ。