四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

暗闇から

 会社の同僚たちと酒を飲んだ後、夜11時ごろに帰宅しましたが、思いがけない暗闇の中で、僕は仕方なくベッドに体を横たえました。

 外からは時折、2、3人の子供たちがふざけあっている声が聞こえてくるだけ。上海の夜はこんなにも静かで、こんなにも安らかだったのかと、いまさらながらに思います。

 そして僕は闇の中、大学の探検部の仲間たちとキャンプをしていたころのことを思い出していました。もう10数年も昔のことになります。

 青森の白神山地。原始のままのブナの深い森が僕らを包んでいました。樹冠の合間からわずかに見える星空が明るく感じるほどの漆黒の暗闇です。熊、幽霊、天狗・・・暗闇の中から何が出てきてもおかしくないとすら思えました。背後にぞくぞくっと感じる恐怖感を振り払おうと、僕らはゆっくりと燃える焚き火を囲みながら、くだらない冗談を言っては笑いあっていました。

 後ろを振り返るにはまだ早いかもしれません。僕は仲間たちと未来を語り合う時間が大好きでした。静かな暗闇の中にたたずんでいると、夢はなんでも叶うような気がしたものです。いや、僕の未来はまだまだ先にあると思いたい・・・。



 そんなことを考えながら目をつぶっていると、ぶ〜んと蚊がまとわりついてきました。体を起こして、ライターで蚊取り線香に火をつけます。いまはこの小さなライターの明かりだけが、上海の部屋をほのかに照らしています。「キャンプしているみたいだ」と僕は少年のようにわくわくしてしまいました。

 闇からしか闇はみえない・・・辺見庸さんがどこかで書いていた言葉が頭をよぎって、もっと何かを考えようとしましたが、僕はこの夜、いつもよりかなり早い眠りについていたようです。



 以上、なんだかんだと気取って書いてみましたが、結局は部屋の電気が止められたということです。やっぱり中国でも電気代を払わないといけないみたいです。

 ちなみに最近の出来事トップ3。1.あややこと松浦亜弥さんを上海でインタビュー。ライブも拝見。やっぱりプロとしてのオーラがあります。がんばってる女性は美しい。2.ついに雲南ブランドの試作品が完成。イケテル。かっこいい!(写真は左サイドのphotolifeから)3.部屋の電気が止められ、闇の中で瞑想。(あややをトップ1にしているところが、僕もなかなかのミーハーです)。