四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

夢から醒めないのは地球温暖化のせい

 若者たちでごった返す休日の街角で、僕らは別れた。
 
 互いに背中を向けて歩き出して10メートルほど離れた時、彼女がどんな姿で帰っていくのかを確かめたくなり、僕は振り返ってみた。
 彼女も同じタイミングで振り向いたらしく、距離がどんどんと離れていく人混みの中で目が合って、バイバイと口だけを動かして笑顔で手を振った。長い黒髪がゆれていた。
 
 どんなに言葉を費やしてみても、気持ちが通じないこともある。
 ちょっとした動作やしぐさに、相手の気持ちを感じることもある。


 
 30度を超す真夏日。昨年の上海もこんなに暑かっただろうかと、額ににじみ出る汗をぬぐった。この夏、東京も奄美も、上海もかなり暑くなるらしい。
 

 もしもあの瞬間、彼女の後ろ姿しか見えなかったら、もう夢の中から醒めることができたかもしれない。
 じわりと地球温暖化の影響が、僕にも出てきている。