夢から醒めないのは地球温暖化のせい
若者たちでごった返す休日の街角で、僕らは別れた。
互いに背中を向けて歩き出して10メートルほど離れた時、彼女がどんな姿で帰っていくのかを確かめたくなり、僕は振り返ってみた。
彼女も同じタイミングで振り向いたらしく、距離がどんどんと離れていく人混みの中で目が合って、バイバイと口だけを動かして笑顔で手を振った。長い黒髪がゆれていた。
どんなに言葉を費やしてみても、気持ちが通じないこともある。
ちょっとした動作やしぐさに、相手の気持ちを感じることもある。
30度を超す真夏日。昨年の上海もこんなに暑かっただろうかと、額ににじみ出る汗をぬぐった。この夏、東京も奄美も、上海もかなり暑くなるらしい。
もしもあの瞬間、彼女の後ろ姿しか見えなかったら、もう夢の中から醒めることができたかもしれない。
じわりと地球温暖化の影響が、僕にも出てきている。