四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

白い肩、動く腰

薄い着物を上から脱げば、
女の白い肩が覗く。


そのまま光の中で踊り続ける女の首すじの妖艶な白さをみつめていると、喉が極度に渇いて次々と飲めないビールを流し込んでまう。

いっそのこともっと激しく、もっと強く世界は破滅すればいい。
中国人の若者たちの息が、スピーカーから出る重低音の中で昂ぶり、舞台を目の前にした女が細くしまった筋肉質の腰を振る。
男も女も、魔都上海の闇の中でどこに向けたらいいのか分からないエネルギーを燃焼させていく。



僕らは先週、上海市内のとあるクラブへ潜入した。ただのクラブではない。
イケメンの男性ホストと、女性のホステス(小姐)が混在一体となってサービスしているクラブだ。


この日のメインテーマはなぜか「JAPAN」。光りもののついた着物を着た女たちが舞台で踊り、10人ほどのホストたちが舞台でファッションショーをした。「JAPAN」は、中国の若者にとっては、ファッションの最先端だったりカッコいいスタイルの象徴でもある。日本のマスコミが日本人を煽る「中国人は皆反日」なんていうプロパガンダは、中国に暮らす日本人にはまったく通用しない。


もし自分の席の横に小姐を呼びたければ1人300元(約4500円)だが、ホストの場合は500元(約7500円)だ、とマスターらしき男が僕にささやく。そのままホテルや自宅へお持ち帰りもできるらしい。ホストのほうが高いというのは、おもしろい。いい女は腐るほどいるが、いい男は少ないということか。

こうしたクラブは、売買春だけじゃなく、麻薬を販売したり、その場で吸っている場所も多く、犯罪の巣窟ともなっている。最近は気まぐれに警察が取り締まりを強化して、ホストクラブを経営していた日本人も麻薬関係で捕まったと噂で聞いた。



翌日、クラブに潜入して写真を撮ってきたことを中国人に話したら、もし店の人間にみつかったらボコボコにされていた、「あり得ない」と呆れられた。


今宵も上海は、激しく腰を振っている。