四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

日中の企業間で逆転する賃金〜〜もう中国人を安く雇えない

日本人と中国人の賃金が逆転しつつあります。


これは統計的な見方ではなく、あくまで北京で暮らして身近な人々から感じることです
中国の平均賃金とか1人当たりのGDPは確かに、まだまだ日本の5分の1程度にとどまっています。
それはひとえに13億という巨大な人口のせい。GDPを13億人で割れば、当然平均は小さくなります。


ただ、問題なのは中国で増えている高度技術者や管理層など中間所得層の人々です。
日本人と同程度かそれ以上の高等教育を受け、欧米や日本への留学経験があり、ずれのない世界観を持ち、そして高度なIT技術を使いこなす彼らの賃金です。


私の老婆(中国語で妻の意味)の知り合いのAさん(男性)は、かつて華為という中国通信機器大手の日本法人で技術者兼営業をとして働いていました。
ですが、昨年3月に日本を襲った東日本大震災、福島第1原子力発電所の事故を受け、彼の妻(中国人)が先に北京に引き上げてきました。


Aさんも北京に戻り、日系大手メーカーで現地採用となったのですが、
月給は8,000人民元と、たったの10万円足らずでした。年収120万円しかなりません。


これでは北京で家も買えません。
市内(四環路以内)にある新築住宅の平均単価は約3万人民元(約39万円/1平米)以上です。
一般的な広さの150平米の住宅なら450万元と、約6,000万円もします。
ローン金利は7%ほどなので、頭金なしで30年ローンなら返済総額は1億4,000万円近くになります。
年収120万円の人間が120年分の賃金をすべて住宅に投じて、やっとまともな家が手に入るのです。
現実的ではありません。



ところが、最近Aさんの日本での営業経験、技術力などを見込んだ華為のライバル、ZTEが現れました。
彼をZTEの日本法人で雇いたいとスカウトし、提示してきた賃金は年収900万円でした。


優秀な中国人を120万円でしか雇えない日本企業と、
900万円でスカウトし、積極的に世界展開を狙う中国企業
企業としてどちらに勝敗があるのでしょうか。
人材の使い方が問われています。


果たしてAさんは北京の日系大手企業で月収10万円で働くことを選ぶでしょうか。