四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

中国人の面子、買い控えてみたものの・・・

「日本ブランドの不買運動をさほど懸念していない。すぐに影響は消える」と、ある大手日系メーカー関係者は言う。反日デモの影響を受け、各分野で日本製品の不買運動が広がっているとされるが、ある業界では影響は短期的になると予測する。

日中間が面子の張り合いを続ける中でも、楽観的になれる理由とは?中国市場には中国ブランドが育っておらず、日本製品を買い控えてしまうと、代わりに買うブランドがなくなってしまうからだ。

典型的な商品がデジタルカメラだ。日本ブランドが土壇場の市場で、日本ブランドを買い控えてしまうと、他に買う国のブランドはほとんどない。「日本ブランドの高級機ほど売れる中国市場。買い控えによる日系ブランドの売り上げ鈍化が出ているが、消費が後にずれるだけ。むしろ買い控えた反動があるかもしれない」とまで予測する。

■本当の敵は韓国?

日系ブランドや品質が高い人気を獲得している化粧品や飲食店、サービス産業なども似た状況に置かれている。日系ブランドの高い安全性を求める消費者は増えており、即座に中国ブランドへの転換が起こるとは考えにくい。むしろ日系ブランドの脅威となるのは、この機を利用して自社ブランドのシェアを拡大しそうとする韓現代自動車や独フォルクスワーゲン(VW)の攻勢だと、業界関係者は言う。

■命より大切な面子

「カッと激情しやすい中国人だが、直ぐに忘れてしまうのも中国人」と、中国人自身の特性を語る中国人女性。日本商品を買い控えてみたものの、実は買うブランドが自国にないと改めて気づかれた消費者。彼らが日本ブランドに戻ってくるのはそんなに先の話ではないという。
「国有化」で、図らずも中国や中国人の面子をつぶした形となってしまった日本。中国人が「命よりも大切にする」とされる面子をつぶされたことでかつてないほどに怒りに火が付いた。ならばこんな時だからこそ逆に、中国や中国消費者の面子を立ててあげれば、日本製品を買うのではないか?
「上から見下したような売り方はダメ。中国人の生活、価値観を尊重する。中国人自身の人生を豊かにするために日本商品を買ってみましょう」。そんなメッセージを中国の消費者に向けて送っていくことが今後、日本ブランド復活の要になってくるとある広告人はいう。国レベルでも、消費者レベルでも守らなければならないのはまず面子。「中国人の行動原理は理解しがたいようで実は簡単。尊重されさえすれば、中国と仲良くやっていける。不必要な摩擦は避けられる」と強調する。