四十雀の囀り日記

路上をゆるりと歩いたり、時に疾走したり。2004年から中国で暮らし、16年秋に13年ぶりに帰国しました。

2006-01-01から1年間の記事一覧

僕に足りないもの

夕方8時すぎ。会社の帰りにひとりで安食堂に入りました。 どのテーブルも客であふれています。僕は、女性店員に7元の回鍋肉を注文して、料理が運ばれてくるのを待ちました。客が多いため、なかなか回鍋肉はやってきません。 ひとつ、ふたつ、みっつ、よっ…

雲南の伝統という糸

こんばんは。約半月ぶりの日記更新です。 ゴールデンウィークの丸一週間は、雲南に“帰っ”ていました。行ってくるではなく、帰る。僕にとっては、やはり帰る場所のようです。同僚の女の子2人と、カメラマン1人と合計4人の旅です。僕以外の3人は雲南が初め…

夜の果物屋さん

きょうは仕事の帰り道、朝食用のバナナをよく買っている果物屋さんに立ち寄りました。林檎、西瓜、苺、檸檬、梨、蜜柑などが並ぶ小さな果物屋さんです。裸電球が2つ天井から吊るされて、果物たちをカラフルに照らしています。 28歳の女店長は「いらっしゃい…

バナナを拾えない子ザル

どこの動物園にも必ずあるといってもいい、サル山が好きです。パンダとかなんとか珍しい動物を眺めても、あーそうかという感じで意外とあっさり見終わってしまいますが、サル山に来ると僕は離れがたくなります。売店で買ったポップコーンを口に放り込みなが…

したたかさのバカ野郎

したたかさのバカ野郎。誰が好きでこんなしたたかさを身に付けたのだろう。ヒトはしたたかだから、偉いのか。ヒトは偉くなりたいから、したたかになるのか。 そんなものは捨ててしまえ。所詮はヒトのクズにすぎん。 怒りは、したたかさに向けられて、したた…

雨の日、散歩、夢

ポツポツと小雨が降りはじめた昼下がり。ひとりバスに乗って街の中心部へ出かけました。 いつもより人通りが少ない准海路。新しいワイシャツを買う用事を済ますと、ぶらりと近くの公園へ足をのばしてみました。 都会の空気も雨で浄化されているのか、吐く息…

怒れ!

きょうの上海は最高気温28度ぐらい。かなり暑くなってきました。湿気の多さが不快度を増している感じ。これから夏が大変そうです。 昼過ぎ、会社近くの売店へ雑誌を買いに行きました。僕は埃まみれになった雑誌一冊を手に取り、「この雑誌の最新刊は置いて…

路上の視点

高い地点から、世界を見下ろす。 低い地点から、世界を見上げる。 いずれの視点も、世界への段差がある。観察者と対象者の間に、明らかな距離がある。この段差は、お互いの関係性を冷たく突き放して、反発し合う性質からどうしても逃れることはできないよう…

眼鏡

眼鏡の似合う女性に、グッとくることがあります。知的さにカモフラージュされた色気−これがたまりません。カモフラージュのないストレートな色気は、もう35歳のお兄さんには興味ありません。 ところが、世を見渡すと、コンタクトレンズ全盛の時代です。せっ…

蹴飛ばせ

どうも上手くいかないのです。 僕は、考えます。どうすれば良いのかじっくり考えます。 どこからか、ビビーと変な音が聞こえるようになってきてしまいました。幻聴でしょうか。もうかなりヤバイです。 僕は、やはり現状の打開策を考えます。振り返ってみれば…

雲南ブランドを創造しよう

僕が1年半暮らした中国の西南地方・雲南省には、少数民族が多く暮らしています。25もの少数民族が各地にいて、それぞれまったく異なる衣装を身にまとい、伝統的な生活を守っている人たちもまだまだいます。 彼らが持つ伝統のデザインを生かして、新たなブラ…

激流の中で

上海は、急速な速度で流れている。 情報も、モノも、価値観も、人すらも流れている。 昆明がゆったりとした淀みだとすれば、 上海は、激流。僕の身近にいる人がこの2、3月の2ヶ月間で6人も去っていく。 いくら激流でも、ちょっと流れが速すぎやしないか…

刷り込まれた青空

いつの間にか僕は、青空へ刷り込まれていたようです。青空は、中国雲南省の青空です。きょう夜、自宅に取り付けたばかりのDVDデッキで一人、張藝謀(チャン・イーモウ)監督の映画「単騎、千里を走る。」を観ていて、そう思い知らされました。ちなみにこのDVD…

上海の雨の日

きのうの上海は一日中雨が降っていました。ちょっと冬に逆戻りしたような冷たい雨。昨夜からベランダに干していた衣類が、まだ乾いていません。売店のおばちゃんも、寒そうに手をこすっていました。 土曜日も午後から仕事でした。事務所の静けさ。人がいても…

無節操な犬の話(見合い物語完結編)

お見合いのあった日の、デートの様子を詳しく報告せよ!という要望が多いので、改めてここに報告いたします。ではさっそくかの土曜日の昼下がりに戻りましょう。 彼女を一目見てショックを受けた僕ですが、とりあえず食事だけでもと思い、僕は「じゃ、ご飯を…

お見合い物語のその後

上海お見合い物語、のその後の報告をせよ!と強迫するメールがいくつか寄せられていますので、ここに報告いたします。とりあえず、お見合いがあったその日に戻ります。 久しぶりによく晴れた土曜日の昼です。青い空が気持ちよく、「きょうはいいことがきっと…

大変です、お見合いです!

来週末、上海人の娘とお見合いをさせられることになってしまいました。相手の女性は27歳。大卒の広告会社勤務です。 さあ、僕の運命やいかに?! そもそものきっかけはこうです。 僕は毎朝出勤する時、アパートの出口のところにある売店で地元の新聞を買っ…

忙しい、ただ忙しい。

忙しい。徹夜を3日間ぐらいすればこれらの原稿は仕上がるのでしょうか。痛い。僕は疲れてくると、必ず左側の側頭部が痛みはじめます。ボーとしたい。春節が明けた2月3日から一日も休んでいません。ぶっ続け25日以上の仕事になりそうです。取材の合間に…

覚悟という強さ

人は覚悟した時、強さを備えるような気がします。「窮鼠,猫を噛む」ということわざもありますが・・・。 僕は中国にやって来てもうすぐ2年。ここで働く日本人から感じるのは、覚悟した人間の強さです。ある人は、日本での安定した生活を捨ててまで、新たな挑戦…

音の風景

きのうは、仕事のため朝から夕方まで一日中、上海の街を歩きました。 中国人らの話を聞いて歩きます。それをメモに取る。僕の中国語の学習歴はまだ2年足らず。すべてを聞き取れるわけではありませんが、言いたいことの方向性ぐらいならなんとか飲み込めるよ…

美しい人

長い混沌を経てもなお、純粋な心を持ちえる人に強く惹かれます。 僕は、明日35歳になります。日本人男性の平均寿命の半分近い時間を過ごしている、なんて数字で考えると、「もう半分も生きてしまった」なんて後悔もちらほらながら思ってしまいます。が、「ま…

自然に宿る人の気持ち

僕の実家の信州の家は、森がほんとうに近くにあります。森まで50メートルぐらいです。 森にはきれいな小川が流れていて、赤い甲羅のサワガニや、コロコロした小さなタニシがたくさん生息していました。子どもというのは、誰でも外で遊ぶのが大好きです。僕は…

頑なな芯の弱さ

いつの頃からか、信念をまげないのは強さではなく、弱さなのかもしれないと感じるようになりました。僕はずっと間違っていたのでしょうか。 こんなにも簡単に傷つき、血を流している皮膚をみて、他人は嘲るのです。 頑なな芯があればこそ、人は傷つきやすい…

僕の認知装置と上海

僕だけの認知装置が研ぎ澄まされる上海。 レンズが静かな街角を彷徨い、脳裏に隠された情景と出会って、僕だけの認知装置までが甦った。 まぎれもない、創造を超えた現実がこの世界に現出するのは、この認知装置のおかげだ。 神様とにらめっこする少年。カメ…

老板志向の上海人

きのうは、上海人の友人たちと高級レストランで夕食をとりました。一人の女の子は先週、ある会社の秘書の仕事を辞めたばかり。春節の大型連休中は、夜な夜な街へ繰り出して遊んでいるようです。 久しぶりに会ってみると、髪の毛をかなり黄色く染め、できる秘…

上海で真実を叫ぶ

きょうは一人で上海の街を歩きました。街角の広場では、春節(旧正月)を祝う獅子舞をやっていたりして、人が楽しげです。新年を迎えた気分にあふれていました。 きれいなポスター。ブランド物の時計、宝石、洋服、靴・・・。日本より値の張る商品が平気で並ん…

気取らないこと、を気取る、35歳 in 上海

実はもうすぐで35歳になる。もう決して青春の時期ではなく、オッサンの領域に入ってきたので、ここに宣言する。 これから僕は、気取らないことを、気取ろう。 オッサンになってくると、あからさまに気取るのは、カッコ悪い。まったく気取らないのは、単に野…

勝つ戦略パート2(勝つ7か条)

「勝つための戦略7か条」は以下の通り(ruruchanによる公式認定済み)。 毎朝、出勤前にしっかり暗唱するべし。そして実行せよ! 1、自分の弱点を認識せよ。2、勝つことを目標とするな。3、負けないことを目標とせよ。4、負けてもいい。5、とにかく負…

フォー!と叫んで破壊しよう

自分を100%信じきれているような自信家な大人ほど、実は小さな世界でしか生きていなくて、大きな声で子どものようなことを平気で口にして人を傷つけてしまうので、本当に「困ったちゃんだな」と思います。価値観が狭いっていうか。自分の世界が狭いっていう…

告白

田舎の広い河川敷。僕も同級生たちに混じって、行方不明となっている彼女の捜索に加わりました。 彼女がもう息絶え、川の底に沈んでいることは、この世で彼女本人と僕ら2人だけが知っていましたが、何気ない顔を装っていました。この時から本当の苦しみが始…